講演・口頭発表等 - 茂木 肇
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S-アリル-Lシステインは成長ホルモン受容体を刺激して肝実質細胞の増殖を促進する
茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
日本薬学会第145年会(福岡) 2025年03月 日本薬学会
開催年月日: 2025年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:福岡国際会議場 国名:日本国
【目的・方法】S-アリル-L-システイン(SAC)は、熟成ニンニクに含まれる含硫アミノ酸の一種であり、抗酸化作用や抗炎症作用といった薬理作用が報告されている。近年、SACは細胞増殖促進作用も有していることが報告されており、我々は以前、初代培養肝実質細胞においてSACがヤーヌスキナーゼ(JAK)2/ホスホリパーゼC(PLC)経路を介してインスリン様増殖因子1型(IGF-I)を分泌することにより細胞増殖促進作用を示したことを明らかとした。このJAK2/PLC/IGF-I分泌機構は、成長ホルモン(GH)でも確認されていることから、我々は、SACがGH受容体に結合すると仮説を立てた。そこで本研究では、GH受容体に対する免疫蛍光法(GH受容体イメージング)を用いて、SACまたはGH存在下において抗GH受容体モノクローナル抗体(抗GHR mAb)とGH受容体との親和性に関する検討を行った。
【結果・考察】肝実質細胞のGH受容体は、蛍光色素で標識された抗GHR mAbにより蛍光シグナルを発した。一方、SAC存在下における蛍光シグナルはSAC不在下と比較して減少する傾向が認められ、その効果はSACの用量に依存した。GHにおいても同様の傾向が認められた。これに対し、S-メチル-L-システインでは、蛍光シグナルの減少は認められなかった。これらの結果から、SACは肝実質細胞膜に発現しているGH受容体と結合することにより、肝実質細胞増殖促進作用を発揮することが明らかとなった。 -
トリヨードチロニンの初代培養肝実質細胞に対する増殖促進作用はEGF/TGF-α RTK/PI3K/ERK経路を経由する
茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
第130回日本解剖学会/第102回日本生理学会/第98回日本薬理学会合同大会(APPW2025) 2025年03月 日本解剖学会/日本生理学会/日本薬理学会
開催年月日: 2025年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:幕張メッセ 国名:日本国
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成熟ラット初代培養肝実質細胞におけるエリスロポエチンの細胞増殖促進作用に関する検討
叶 友嘉、植木 里奈、野中 春亜、大野 洸、茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
日本薬学会第144年会(横浜) 2024年03月 日本薬学会
開催年月日: 2024年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:パシフィコ横浜 国名:日本国
【目的】エリスロポエチン(EPO)は、赤血球の分化・増殖を促進する造血因子の一種で、貧血や組織の低酸素状態に応答して腎臓で産生が誘導される。さらに、EPOは、肝細胞の増殖促進にも関与していることが、部分肝切除ラットを用いた肝再生研究により明らかとなっている。EPOの肝細胞増殖促進作用は、JAK-STAT経路やMAPK経路などが関与していると推測されているが、その詳細な細胞内シグナル伝達機構は不明である。そこで、本研究では、成熟ラット初代培養肝実質細胞を用いてEPOの細胞増殖促進作用機構について薬理学的に検討した。
【方法】In situコラゲナーゼ還流法によりWistar雄性ラットから単離・精製した肝実質細胞をcollagen-coated plastic dishに播種した。細胞接着後、無血清培地に交換し、EPOや種々の特異的シグナル伝達因子阻害薬を添加し、一定時間培養した。培養後、肝実質細胞の核数およびDNA合成能を測定し、これを細胞増殖の指標とした。
【結果および考察】EPOは、初代培養肝実質細胞に対して、用量および培養時間に依存して細胞増殖促進作用を示した。EPO誘発肝実質細胞増殖促進作用は、JAK2(TG101209)、PLC(U-73122)およびMEK(PD98059)に対する特異的シグナル伝達因子阻害薬によって有意に阻害された。一方、特異的STAT3/5阻害薬(SH-4-54)は、EPOの肝細胞増殖促進作用に対し有意な抑制効果は認められなかった。これらの結果から、初代培養肝実質細胞におけるEPOの細胞増殖促進作用は、JAK2/PLC/MEKを回することが明らかとなった。 -
ラット初代培養肝実質細胞における甲状腺ホルモン類の細胞増殖促進作用に関する検討
茂木 肇、秋元 美穂、稲井 慧、荻原 政彦、木村 光利
日本薬学会第144年会(横浜) 2024年03月 日本薬学会
開催年月日: 2024年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:パシフィコ横浜 国名:日本国
【目的】エリスロポエチン(EPO)は、赤血球の分化・増殖を促進する造血因子の一種で、貧血や組織の低酸素状態に応答して腎臓で産生が誘導される。さらに、EPOは、肝細胞の増殖促進にも関与していることが、部分肝切除ラットを用いた肝再生研究により明らかとなっている。EPOの肝細胞増殖促進作用は、JAK-STAT経路やMAPK経路などが関与していると推測されているが、その詳細な細胞内シグナル伝達機構は不明である。そこで、本研究では、成熟ラット初代培養肝実質細胞を用いてEPOの細胞増殖促進作用機構について薬理学的に検討した。
【方法】In situコラゲナーゼ還流法によりWistar雄性ラットから単離・精製した肝実質細胞をcollagen-coated plastic dishに播種した。細胞接着後、無血清培地に交換し、EPOや種々の特異的シグナル伝達因子阻害薬を添加し、一定時間培養した。培養後、肝実質細胞の核数およびDNA合成能を測定し、これを細胞増殖の指標とした。
【結果および考察】EPOは、初代培養肝実質細胞に対して、用量および培養時間に依存して細胞増殖促進作用を示した。EPO誘発肝実質細胞増殖促進作用は、JAK2(TG101209)、PLC(U-73122)およびMEK(PD98059)に対する特異的シグナル伝達因子阻害薬によって有意に阻害された。一方、特異的STAT3/5阻害薬(SH-4-54)は、EPOの肝細胞増殖促進作用に対し有意な抑制効果は認められなかった。これらの結果から、初代培養肝実質細胞におけるEPOの細胞増殖促進作用は、JAK2/PLC/MEKを回することが明らかとなった。 -
成熟ラット初代培養肝実質細胞におけるS-allyl-L-cysteineの成長ホルモン受容体結合に関する検討
茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
第97回日本薬理学会年会/第44回日本臨床薬理学会学術総会 2023年12月 日本薬理学会/日本臨床薬理学会
開催年月日: 2023年12月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:神戸国際会議場 国名:日本国
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ラット初代培養肝実質細胞におけるS-allyl-L-cysteine誘発ERK2リン酸化活性に対するα1アドレナリン作動薬の増強作用
茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
日本薬学会第143年会(札幌) 2023年03月 日本薬学会
開催年月日: 2023年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:北海道大学 国名:日本国
【目的】S-Allyl-L-cysteine(SAC)は、ニンニクの熟成過程でその含有量が増加する含硫アミノ酸である。我々は、以前にSACが成熟ラット初代培養肝実質細胞内に含まれるインスリン様増殖因子1(IGF-I)の分泌を促進させることで、肝実質細胞の増殖促進作用を明らかとした。一方、IGF-Iは、ERK2リン酸化活性を介する肝実質細胞増殖促進が認められており、更にその効果はα1アドレナリン作動薬により増強することが示唆されている。即ち、SACにより誘発されたERK1/2リン酸化活性もα1アドレナリン作動性調整を受ける可能性が考えられた。そこで、ラット初代培養肝実質細胞において、α1受容体およびその下流のシグナル伝達因子を刺激する薬物が、SAC誘発ERK2リン酸化活性にどのような影響を及ぼすのかを検討した。
【方法】SACとα1作動薬との共存下における初代培養肝実質細胞のMAPK(ERK1/2)活性を、抗リン酸化ERK1/2抗体を用いたWestern blotting解析法にて測定し、比較検討した。
【結果・考察】SACは、その単独刺激30分後において初代培養肝実質細胞のERK2リン酸化活性を促進させた。これに対し、SACによるERK1リン酸化促進作用は、認められなかった。一方、α1作動薬であるフェニレフリンやプロテインキナーゼC(PKC)活性薬であるTPAは、単独では、ERK2のリン酸化を促進しなかったが、SACとの併用によりERK2リン酸化活性の増強が認められた。更に、これらの増強効果は、PKCの特異的阻害薬であるGF109203Xにより抑制された。これらの結果から、SACによるERK2リン酸化促進作用は、α1アドレナリン作動性の増強を受け、その増強効果は、活性化したPKCがSACの増殖シグナルにおけるERK2の上流で相互作用していることが認められた。 -
成熟ラット初代培養肝実質細胞におけるS-allyl-L-cysteineのIGF-I受容体チロシンキナーゼリン酸化活性促進作用に関する検討
茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
第95回日本薬理学会年会/第43回日本臨床薬理学会学術総会 2022年12月 日本薬理学会/日本臨床薬理学会
開催年月日: 2022年11月 - 2022年12月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:パシフィコ横浜 国名:日本国
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HepG2細胞の増殖能に対するS-allyl-L-cysteineおよびそのシクロデキストリン包接化合物の影響に関する研究
斎藤 紘生、立川 吏乃、茂木 肇、谷川 尚、井上 裕、木村 光利
第66回日本薬学会関東支部大会 2022年09月 日本薬学会関東支部
開催年月日: 2022年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:横浜薬科大学 国名:日本国
【目的】S-Allyl-L-cysteine (SAC) は、ニンニクに多く含まれる含硫アミノ酸であり、種々のがん細胞に対して、細胞増殖抑制作用を示すことが報告されている。Cyclodextrin (CD) は、D-グルコース同士がα-1,4結合した環状オリゴ糖であり、それぞれグルコース数に応じてα型、β型およびγ型に分類される。そこでCDsを用いてSACとの包接複合体を調製により、CDの違いにより包接挙動に違いが考えられる。そこで本研究は、SACおよびそのSAC/CDs包接化合物がHepG2細胞増殖抑制作用にどのような影響があるか比較することによりSACの効果の違いについて考察した。
【方法】35φdishに播種し接着したHepG2細胞(1.0×10⁴ cells/cm²)に、SACおよびSAC/CDs包接化合物を添加し、一定期間培養した。培養後、Triton-X100でHepG2細胞から裸核を得て、その核数を血球計算盤により計測した。
【結果および考察】培養3日目におけるHepG2細胞の増殖に対して、SAC(10-6M)単独添加群は、コントロール群と比較して約14%の減少が認められた。これに対し、β-CD/ SAC群は、約30%の核数の減少が認められた。一方、α-およびγ-CD/SAC群は、更なる核数の減少効果は認められなかった。β-CD/ SACは、S-allyl基が露出しているため、SACのHepG2細胞増殖抑制作用には、S-allyl基が重要であると考えられる。 -
初代培養肝実質細胞における成長ホルモンのJAK2/ PLC/ IGF-I受容体チロシンキナーゼ経路を介した細胞増殖促進作用に関する研究 国際会議
茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
日本薬学会第142年会(名古屋) 日本薬学会
開催年月日: 2022年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:名古屋(オンライン)
【目的】当研究室では、これまで肝再生の分子機構の解明の一端として、肝再生中に分泌される増殖因子やサイトカインの細胞増殖メカニズムを検討してきた。脳下垂体前葉ホルモンである成長ホルモン(GH)は、細胞の増殖を促進させるホルモンであり、肝再生にも大きく影響を及ぼす。GHの細胞増殖促進作用は、JAK/STAT/IGF-I経路を介することが知られているが、近年、その他にも様々な経路により標的器官の細胞分裂を起こしていることが明らかとなってきている。本研究では初代培養肝実質細胞を用いて、GHの細胞増殖メカニズムの新たな見解を検討したので報告する。
【方法】In situコラゲナーゼ還流法により、成熟ラットから肝実質細胞を単離し、初代培養を行った。細胞接着後、無血清培地に交換し、種々の濃度のGHまたは特異的シグナル伝達因子阻害薬を添加した。一定時間培養後、肝実質細胞のDNA合成能及び核数を計測した。また、JAK2およびIGF-I受容体チロシンキナーゼ(RTK)のリン酸化活性はWestern blot法を用いて測定した。
【結果及び考察】GHは、初代培養肝実質細胞に対して、用量および培養時間に依存して有意なDNA合成および細胞増殖促進作用を示した。GH誘発肝細胞増殖促進作用は、特異的JAK2阻害薬(TG101209)、特異的PLC阻害薬(U-73122)、特異的IGF-I受容体チロシンキナーゼ阻害薬(AG538)によって有意に抑制された。しかし、特異的STAT3/5阻害薬(SH-4-54)ではGHの肝細胞増殖促進作用を抑制しなかった。また、GHは肝実質細胞のJAK2およびIGF-IRTKのリン酸化活性を有意に促進させ、その上昇ピークはJAK2の方が早かった。これらの結果から、初代培養肝実質細胞におけるGH増殖促進作用はJAK2/PLC/IGF-I RTKを介することが明らかとなった。 -
初代培養肝実質細胞におけるS-allyl-L-cysteineのIGF-I分泌およびその作用機構に関する検討
茂木 肇、栗原 一樹、荻原 政彦、木村 光利
第95回日本薬理学会年会(福岡) 日本薬理学会
開催年月日: 2022年03月 - 2203年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:福岡国際会議場
S-allyl-L-cysteine (SAC) is a sulfur-containing amino acid contained in garlic. Recent studies have demonstrated that the pharmacological effect of SAC is not only as an antioxidant effect, but also as a cell proliferation effect. In a previous study, we demonstrated that the hepatocyte proliferating effect of SAC was via the IGF-I receptor tyrosine kinase / ERK2 pathway. In addition, the SAC-stimulated hepatocyte proliferation was suppressed by somatostatin, which inhibits the secretion of autocrine factors such as IGF-I. The aim of this study is to further investigate the mechanism of SAC-induced IGF-I secretion in primary cultures of adult rat hepatocytes. The amount of IGF-I secreted from hepatocytes was quantified by ELISA. As a result, SAC significantly increased secretion of IGF-I from cultured hepatocytes at 20 min. The SAC-induced IGF-I secretion was completely suppressed by a JAK2 inhibitor TG101209, a phospholipase C Inhibitor U-73122, and an intracellular Ca2+ chelating agent BAPTA-AM. Moreover, phosphorylation of JAK2 was increased rapidly in SAC-stimulated hepatocytes, and the effect was suppressed by TG101209. These results suggest that SAC stimulates JAK2, subsequently activates PLC, which increases membrane phosphatidylinositol turnover and intracellular Ca2+ levels, resulting in autocrine IGF-I secretion.
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部分肝切除ラットにおけるERKおよびAktリン酸化活性に対するS-allyl-L-cysteineの促進効果の検討
石井 貴久、赤木 友香、栗原 一樹、茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
第65回日本薬学会関東支部大会(千葉) 日本薬学会関東支部
開催年月日: 2021年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:千葉(オンライン)
【目的】S-Allyl-L-cysteine (SAC) は、熟成ニンニクに含まれる含硫アミノ酸の一種であり、抗酸化作用や抗炎症作用などがあることから、健康補助食品に利用されている。さらに過去の我々の研究で、部分肝切除ラットにおいてSACが肝再生を促進させることが明らかとなった。しかし、SACの肝再生促進作用のメカニズムは未だ不明な部分が多い。本研究では、細胞増殖に関わりの深いタンパク質であるERK1/2とAktに焦点を当て、Western blot解析法を用いて、部分肝切除ラットにおけるERK1/2およびAktリン酸化活性に対するSACの効果について検討した。
【方法】Wistar系雄性ラットにHigginsらによる70%部分肝切除術を施行し、肝再生モデル動物を作成した。モデル動物にSAC (300 mg/kg, p.o.) を投与し、一定期間飼育した後、残余肝を摘出した。残余肝からトライゾール試薬により抽出したタンパク質を基にWestern blot解析法を用いてERK1/2およびAktのリン酸化活性を測定した。
【結果および考察】部分肝切除後のSAC投与群において、ERK2およびAktリン酸化活性は、切除後3時間と6時間で有意差に増加した。一方、ERK1リン酸化活性は部分肝切除24時間まで有意差が認められなかった。これにより、SACは、ERK2およびAktのリン酸化を促進させることにより肝再生を促進させると考えられる。 -
成熟ラット初代培養肝実質細胞に対するN-acetyl-S-phenyl-L-cysteineの細胞増殖促進作用機構の検討
浅田 健一、石垣 太基、栗原 一樹、茂木 肇、荻原 政彦、 木村 光利
第65回日本薬学会関東支部大会(千葉) 日本薬学会関東支部
開催年月日: 2021年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:千葉(オンライン)
【目的】N-Acetyl-S-phenyl-L-cysteine (Nac-SPC) は、L-cysteineの誘導体であるS-allyl-L- cysteine (SAC)のallyl基がphenyl基に置換し、さらにN-acetyl化された水溶性化合物である。SACは過去の我々の研究において、初代培養肝実質細胞増殖促進作用が認められているが、Nac-SPCは、SACのような細胞増殖促進作用は報告されていない。そこで、本研究では、初代培養肝実質細胞を用いてNac-SPCの細胞増殖促進作用とその作用メカニズムについて薬理学的な検討を行った。
【方法】In situコラゲナーゼ還流法により、成熟ラットから肝実質細胞を単離し、初代培養を行った。細胞接着後、無血清培地に培地交換し、Nac-SPCおよび特異的シグナル伝達因子阻害薬を添加し一定時間培養した。培養後、Triton-X100で肝実質細胞の細胞膜を溶かし、裸核を得て、その核数を血球計算盤により計測した。
【結果および考察】Nac-SPCは初代培養肝実質細胞に対して用量および培養時間に依存して細胞増殖促進作用を示した。さらにNac-SPCにより誘発された肝実質細胞増殖促進作用は、PD98059、LY294002およびrapamycinにより抑制された。これによりNac-SPCによる肝実質細胞増殖促進作用は、少なくともMEK、PI3KおよびmTORが関与していると考えられる。 -
成熟ラット初代培養肝実質細胞に対するS-phenyl-L-cysteineの細胞増殖促進作用機構の検討
伊藤 元気、江口 佑太、栗原 一樹、茂木 肇、荻原 政彦、 木村 光利
第65回日本薬学会関東支部大会(千葉) 日本薬学会関東支部
開催年月日: 2021年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:千葉(オンライン)
【目的】S-Allyl-L-cysteine (SAC) は、熟成ニンニクに含まれる含硫アミノ酸の一種であり、抗酸化作用や抗炎症作用を示す他、細胞増殖促進作用も示すことが、過去の我々の研究において明らかとなっている。一方、SACのallyl基がphenyl基に置換されたS-phenyl-L-cysteine (SPC) は、ベンゼンによる暴露の潜在的なバイオマーカーとして利用されているが、SACのような細胞増殖促進作用は報告されていない。そこで、本研究では、初代培養肝実質細胞を用いてSPCの細胞増殖促進作用とその作用メカニズムについて薬理学的な検討を行った。
【方法】In situコラゲナーゼ還流法により、成熟ラットから肝実質細胞を単離し、初代培養を行った。細胞接着後、無血清培地に培地交換し、SPCおよび特異的シグナル伝達因子阻害薬を添加し一定時間培養した。培養後、Triton-X100で肝実質細胞の細胞膜を溶かし、裸核を得て、その核数を血球計算盤により計測した。
【結果および考察】SPCは肝実質細胞に対して、用量および培養時間に依存して細胞増殖促進作用を示した。さらにSPCによって誘発された肝実質細胞増殖促進作用は、PD98059、LY294002およびrapamycinにより抑制された。これによりSPCによる肝実質細胞増殖促進作用は、少なくともMEK、PI3K、mTORが関与していると考えられる。 -
70%部分肝切除ラットにおけるS-allyl-L-cysteineの肝再生促進作用はIGF-1とその受容体のmRNAの発現量増加を介する
栗原 一樹、茂木 肇、夏目 秀視、荻原 政彦、木村 光利
日本薬学会第141年会(広島) 日本薬学会
開催年月日: 2021年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:広島(オンライン)
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70%部分肝切除ラットにおけるS-allyl-L-cysteineとその誘導体の肝再生促進作用の検討
栗原 一樹、茂木 肇、夏目 秀視、荻原 政彦、木村 光利
第94回日本薬理学会年会(札幌) 日本薬理学会
開催年月日: 2021年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:札幌コンベンションセンター
In a previous report, we investigated the several candidate substances which accelerate liver regeneration by using 70% partial hepatectomized rats. In this study, we focused on S-allyl-L-cysteine (SAC), a type of sulfur-containing amino acid. It has been reported that SAC has antioxidant and anti-inflammatory activities. However, little is known about the SAC-induced cell proliferation in various cell types. The aim of this study was to evaluate the effects of SAC and some analogues on the restoration of liver mass in 70% partial hepatectomized rats. After 70% partial hepatectomy, rats treated with SAC (300 mg/kg/day, p.o.) showed a 1.2-fold increase in liver weight per 100 g body weight on day 3 compared with saline-treated control. In contrast, S-methylcysteine (300 mg/kg/day, p.o.) or cysteine (300 mg/kg/day, p.o.) did not have a regeneration-promoting effect. In comparison with control rats, the regenerating liver of SAC-treated rats showed a significantly higher 5-bromo-2’-deoxyuridine labeling index on day 1. These results demonstrate that SAC significantly promotes the regeneration of liver mass via stimulation of hepatocyte DNA synthesis, but not that of antioxidant activity in 70% partial hepatectomized rats.
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S-アリル-L-システインの初代培養肝実質細胞における細胞増殖促進作用機構の検討
茂木 肇、栗原 一樹、荻原 政彦、木村 光利
第94回日本薬理学会年会(札幌) 日本薬理学会
開催年月日: 2021年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:札幌コンベンションセンター
The sulfur-containing compound, S-allyl-L-cysteine (SAC), is found in aged garlic extract. The pharmacological study of SAC has included many reports of its antioxidant activities, however, little information has been accumulated regarding SAC-induced proliferation in various cell types. Previously, we reported that SAC is a mitogenic effector of normal remnant liver in two-thirds partially hepatectomized rats. The purpose of this study was to investigate the mechanism of cell proliferation induced by SAC using specific inhibitors of signal transducers in primary cultures of adult rat hepatocytes. We showed that SAC induced time- and dose-dependent hepatocyte proliferation in primary cultures of adult rat hepatocytes. Hepatocyte mitogenesis induced by SAC was inhibited by a selective IGF-1 receptor tyrosine kinase inhibitor AG538, a selective PI3 kinase inhibitor LY294002, a selective MEK inhibitor PD98059, a selective mTOR inhibitor rapamycin, and granule secretion inhibitor somatostatin. Furthermore, a monoclonal antibody against IGF-1 dose-dependently inhibited the SAC-induced cell proliferation. Our observations showed that the mitogenic effect of SAC was dependent on autocrine secretion of IGF-1 and secreted IGF-1 by SAC stimulates the IGF-1 RTK / PI3K / MEK / ERK / mTOR pathway to promote hepatocyte proliferation.
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ラット初代培養肝実質細胞におけるEGF誘発細胞増殖促進作用に対する葉酸およびテトラヒドロ葉酸の抑制効果に関する研究
高橋 智也、栗原 一樹、茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
第64回日本薬学会関東支部大会 日本薬学会関東支部
開催年月日: 2020年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:オンライン
【目的】葉酸(FA)はビタミンB群の一種であり、核酸塩基の生合成等に関わることから、細胞の増殖に重要な役割を果たしている。一方、いくつかの報告においてFAは細胞増殖抑制作用も有することが明らかになってきており、我々の過去の研究においても、FAがEGF誘発肝実質細胞増殖促進作用を抑制することが明らかとなっている。本研究ではFAの細胞増殖抑制作用の詳細を検討するため、ラット初代培養肝実質細胞におけるEGF誘発細胞増殖促進作用に対するFAとその代謝産物であるテトラヒドロ葉酸(THF)の増殖抑制効果の比較検討を行った。
【方法】In situコラゲナーゼ還流法により、成熟ラットから肝実質細胞を単離し、初代培養を行った。細胞接着後、無血清培地に交換し、EGF(20 ng/ml)および種々の濃度のFAやTHFまたはメトトレキサート(MTX)を添加し一定時間培養した。培養後、Triton-X100で肝実質細胞を裸核し、その核数を血球計算盤により計測した。
【結果および考察】FAおよびTHFは、EGF誘発肝実質細胞増殖促進作用に対し用量依存的に抑制効果を示した。一方、MTX共存下ではFAの増殖抑制効果のキャンセルが認められ、その核数はEGF単独と同等の値を示した。これに対し、THFの増殖抑制効果はMTX共存下においても影響を及ぼさなかった。これらにより、FAは細胞内でTHFに代謝されたのちEGF誘発肝実質細胞増殖促進作用を抑制したと考えられる。 -
HepG2細胞に対するTG101209の細胞増殖抑制作用に関する研究
和田 一美、持田 真生、糸永 直人、栗原 一樹、茂木 肇荻原 政彦、木村 光利
第64回日本薬学会関東支部大会 日本薬学会関東支部
開催年月日: 2020年09月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:オンライン
【目的】ヒト肝癌細胞HepG2の増殖には、インターロイキン6(IL-6)のような炎症性サイトカインの過剰発現が関与しているといわれている。IL-6は、JAK/STAT経路を活性化させることが知られているが、HepG2細胞の増殖において、JAK/STAT経路を介した詳細なメカニズムについては不明な部分が多い。本研究では、特異的JAK2阻害薬であるTG101209を用いて、HepG2細胞の増殖能、タンパク質リン酸化活性(JAK2、MAPK)を測定し、JAK/STAT経路の関与について検討した。
【方法】HepG2細胞を1.0×104 cells/cm2になるよう播種し、5%FBS含有DMEMにより一晩接着培養させた。培養後、Triton-X100で肝実質細胞を裸核とし、その核数を血球計算盤により計測した。また、JAK2やMAPKのリン酸化活性はWestern blot解析法を用いて測定した。
【結果および考察】HepG2細胞の増殖に関し、培養5日目においてTG101209の用量に依存して有意な核数の減少が認められた。また、HepG2細胞のJAK2リン酸化活性は、TG101209(3.0×10-7M)の添加により有意な抑制が認められた。一方、TG101209はMAPKリン酸化活性に影響を及ぼさなかった。これにより、HepG2細胞は、JAK2を介してその増殖を促進していると考えられる。 -
70%部分肝切除ラットにおける含硫アミノ酸誘導体S-ally-L-cysteineの肝再生促進作用の検討
栗原 一樹、茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
日本薬学会第140年会(京都) 日本薬学会
開催年月日: 2020年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:国立京都国際会議場
【目的】当研究室では、肝再生現象の in vivo モデル実験系として、70 %部分肝切除(70% PH)を施した ラットを用いて、肝再生を促進する薬物の探索を検討してきた。その一連の研究の中で、含硫アミノ酸 L-cysteine (Cys)の誘導体の一種であるS-allyl-L-cysteine (SAC)が肝再生促進作用を有することを見出した。そ れまでSACは、構造中の硫黄(S)原子による抗炎症作用により組織修復を促進すると考えられていた。一 方、L-CysのS原子にメチル基が結合したS-methyl-L-cysteine(SMC)では 、エタノール誘発急性肝障害に対し て、抗炎症作用が認められているが、肝再生に対する効果は不明である。そこで本研究は、SACとSMCの肝再 生促進作用を肝重量やDNA合成能を測定することで評価した。
【方法】Wistar系雄性ラットにイソフルラン麻酔下で70% PHを施行し、肝再生モデル動物を作製し た。種々の用量のSACあるいはSMCを、術直後より1日1回腹腔内投与し、一定期間飼育した。その 後、BrdU(50 mg/kg, i.p.)を前投与し、採血した後、残余肝を摘出し、その肝重量を測定した。さらにその残余 肝をホルマリン固定・パラフィン包埋・薄切し、組織切片を作製した。肝組織切片はBrdU Immunohistochemistry Kitにて、肝細胞の核に取り込まれたBrdUを染色し、染色された細胞割合(labeling index;LI)を計測し、DNA合成能を評価した。
【結果及び考察】70% PHしたcontrol群では、術後5日目まで穏やかな肝重量の増加を示した。これに対 し、SAC投与群では、術後2日目においてcontrol群と比較し、急激な肝重量の増加が認められた。一 方、SMC投与群ではcontrol群と比較して有意な増加はみられなかった。DNA合成能においても、術後1日目に おいてSAC投与群でcontrol群と比較し、有意な上昇が認められた。一方、SMC投与群ではcontrol群と比較 し、有意な上昇はみられなかった。これらの結果から、70 % PHラットに対する含硫アミノ酸の肝再生促進作 用はL-Cys の S原子に結合したアリル基が寄与することが示唆された。 -
初代培養肝実質細胞に対するセロトニン5-HT2B受容体作動薬の増殖促進作用はEGF/TGF-α受容体チロシンキナーゼとp70 S6キナーゼのリン酸化を介している
栗原 一樹、茂木 肇、荻原 政彦、木村 光利
第93回日本薬理学会年会 日本薬理学会
開催年月日: 2020年03月
記述言語:日本語 会議種別:ポスター発表
開催地:パシフィコ横浜
Serotonin (5-HT) can induce hepatocyte DNA synthesis and proliferation by autocrine secretion of transforming growth factor (TGF)-α through 5-HT2B receptor/phospholipase C (PLC)/Ca2+. In the present study, we investigated whether 5-HT or a selective 5-HT2B receptor agonist BW723C86, would stimulate phosphorylation of TGF-α receptor tyrosine kinase (RTK) and ribosomal p70 S6 kinase (p70 S6K) in primary cultures of adult rat hepatocytes by using Western blotting analysis. Our results showed that 5-HT- or BW723C86-induced phosphorylation of EGF/TGF-α RTK peaked at between 5 and 10 min. On the other hand, 5-HT- or BW723C86 -induced phosphorylation of p70 S6K peaked at about 30 min. Furthermore, a selective 5-HT2B receptor antagonist LY272015, a specific PLC inhibitor U-73122, a membrane-permeable Ca2+ chelator BAPTA/AM, an L-type Ca2+ channel blocker verapamil, somatostatin, and a specific p70 S6K inhibitor LY2584702 completely abolished the phosphorylation of p70 S6K induced by both 5-HT and BW723C86. These results indicate that phosphorylation of p70 S6K is dependent on the 5-HT2B-receptor-mediated autocrine secretion of TGF-α. In addition, these results demonstrate that the hepatocyte proliferating action of 5-HT and BW723C86 are mediated by phosphorylation of p70S6K, a downstream element of the EGF/TGF-α RTK signaling pathway.